数あるバイオリンの中でも頂点に君臨するストラディバリウス。名だたるバイオリニストが演奏してきた名器ですが、いわゆる「普通のバイオリン」と本当に音が違うのでしょうか?
そんな中「ストラディバリウスVS現代の楽器」の実験が行われました。プロのバイオリニストが弾き分けられたかどうか見ていきましょう。
ストラディバリウスVS現代バイオリン
バイオリンの音色を聴き比べる実験がパリ・ヴァンセンヌの劇場で行われました。実験の責任者は音響学専門家のクローディア・フリッツ氏ら。
演奏者としては10人のプロバイオリニストが招待され、合計12台のバイオリンが用意されました。
ストラディバリウス5台
18世紀のイタリア製バイオリン1台
現代のバイオリン6台
演奏場所はコンサートホールとリハーサル室。実験は75分を2セットです。
バイオリニストたちは「自分が演奏会で弾くならどのバイオリンを選ぶか」を基準に12台のバイオリンを評価していきます。
演奏中はバイオリンを見た目で区別できないようにゴーグルを装着し、舞台の照明も暗い状態で実施されました。用意された12台のバイオリンと、自分が所持しているバイオリンを交互に演奏して比べるのもOK。
実験の結果
実験の結果、現代のバイオリンが合計26ポイントでトップ。
このバイオリンはプロバイオリニスト4人が「最も気に入ったバイオリン」と評価し、別の4人は「2番目に良かったバイオリン」、他2人が「気に入らなかった」と判断しました。
一方で最も評価の低かったバイオリンがストラディバリウスで、マイナス9ポイントという悲惨なもの。
全12台のバイオリンを得点順に並べると次の通りです。
1位…現代のバイオリン
2位…現代のバイオリン
3位…黄金期のストラディバリウス
:
:
11位…現代のバイオリン
12位…ストラディバリウス
以上の結果より、実験を率いた3人の研究者は「ストラディバリウスは現代のバイオリンと大差なし」と結論付けました。
この後に行われた聴衆に対する実験でも、現代のバイオリンがストラディバリウスより評価されたとのこと。
ストラディバリウスの神格化は、楽器本来の実力と乖離しているのかもしれません。
アントニオ・ストラディバリ
アントニオ・ストラディバリ(Antonio Stradivari、1644年/1648年/1649年 – 1737年12月18日)は、イタリア北西部のクレモナで活動した弦楽器製作者。ニコロ・アマティに師事し、16世紀後半に登場したヴァイオリンの備える様式の完成に貢献した。その作品(ストラディバリウス)は、21世紀現在、約600挺が現存する。
出典:Wikipedia