バイオリン

35年前に盗まれたストラディバリウスと再会した話がドラマチックすぎる


35年前に盗まれたストラディバリウスのバイオリンが、時を経て家族のもとに戻ってきたそうです。

制作されてから300年近い歴史を持つストラディバリウス。35年という年月はストラディバリウスにとっては短いかもしれません。

しかし持ち主からすれば、我が子と35年間会えないような悲しみがあったことでしょう。

クラッシモ編集部
クラッシモ編集部
35年ぶりに再会するまでの物語を紹介します!

35年ぶりに戻ってきたストラディバリウス


出典:NPR

ストラディバリウスのバイオリンを盗まれたのは、ポーランド出身のバイオリニスト、ロマン・トーテンベルクさん。ボストン大学における弦楽器部門の教授も務めていた方です。

アメリカを中心に演奏活動を行っていたトーテンベルクさんですが、マサチューセッツ州ケンブリッジにあるオフィスから1734年製のストラディバリウスが盗まれました。


1950年代のロマン・トーテンベルク
出典:NPR

トーテンベルクさんは最愛のパートナーをなくし失望します。失意に暮れるなか新しくグァルネリを手に入れたものの、ストラディバリウスへの想いは消えなかったそうです。

トーテンベルクさんは2012年に101歳で亡くなってしまいましたが、その後家族のもとにFBIから連絡があったとのこと!

なんと35年前に盗まれたトーテンベルクさんのストラディバリウスが発見されたというのです。

盗んだ犯人はバイオリニストを夢見る、当時の若き演奏家でした。フィリップ・ジョンソンという名の彼は58歳で亡くなり、残ったストラディバリウスが元妻によって発見されたのです。

残念ながらトーテンベルクさん本人はストラディバリウスを見ることはできませんでした。しかし彼の姉妹たちは喜んでストラディバリウスを受けとったようです。


35年ぶりに戻ったストラディバリウスと、トーテンベルクの姉妹
出典:NPR

ロマン・トーテンベルク 略歴

6歳でヴァイオリンを始め、ミエチスワフ・ミハロヴィチにヴァイオリンを学ぶ。1923年にワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団と共演してデビューを果たし、その後、ベルリンに留学してカール・フレッシュ門下となった。1931年には国際メンデルスゾーン賞を受賞し、パリでピエール・モントゥーやジョルジェ・エネスクらと共演し、ダリウス・ミヨーの知己を得た。1935年にはイギリスとアメリカに演奏旅行をおこない、成功をおさめた。1938年にはアメリカに移住している。その後は、アメリカを中心に演奏活動を展開し、アルトゥール・オネゲルの無伴奏ヴァイオリン・ソナタのアメリカ初演、ウィリアム・シューマンのヴァイオリン協奏曲、クシュシュトフ・ペンデレツキのカプリッチョなどの初演を担当した。
また、教育活動にも従事し、アスペンやタングルウッドで継続的に後進の指導に当たったほか、1961年から1978年まではボストン大学の弦楽器部門の主任教授を務めていた。
出典:Wikipedia

ロマン・トーテンベルク 演奏動画

クラッシモ編集部
クラッシモ編集部
お年を召しても素敵な演奏ですね!